『さよなら、意識高い系(仮)』 第1話「謝罪ポエム問題」|常見陽平
「誠に申し訳ございません・・・」  HRテックベンチャー企業、株式会社ハタライジングの代表取締役社長、前原茂は記者たちの前で深々と頭を下げた。一斉にカメラのフラッシュが光った。パシャ、カシャという乾いた音。約20社分重なると、かなりの威圧感だ。  ダークスーツに身を包み、七三に分けた黒髪で頭を下げる前原はいつもとはまるで別人だった。今日はいかにも謝罪会見モードだった。まるでお通夜のようだった。  「しげるん」の相性で知られ、まるでロックミュージシャンのような出で立ちで、自由奔放に振る舞っていた前原。彼のトレードマークといえば、白に近いほどの金髪だった。大きめのゴロゴロと
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