哀愁や郷愁の中で人々の生命力がぶつかり合う秀逸な芝居に…★劇評★【舞台=忘れてもろうてよかとです ―佐世保・Aサインバーの夜―(2022)】|阪 清和 (Kiyokazu Saka)
本人にとってはとるにたらない個人史だと思っていることでも、それを追うことによって社会の大きな歴史と変遷が見えてくることがある。これは社会心理史を専攻して来た私が教授から叩き込まれてきた考え方で、だからこそ大学時代のゼミでも、記者やエンタメ批評家となってからも、娯楽が大衆に与える影響を探求し続けている私にとって、個人の人生を追い続けることは日本の社会を見るかけがえのない手法だと確信している。劇団民藝が2022年9月から10月にかけて上演した舞台「忘れてもろうてよかとです ―佐世保・Aサインバーの夜―」もこうした手法が活きていて、佐世保の米軍の基地の近くにあるバーのママの個人史を追うこと
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