記憶の中で時空を超えるタイムリープ。青春の再生が紡ぐ家族の再生。鴻上尚史の最新名作戯曲が早くも再演…★劇評★【舞台=アカシアの雨が降る時(2023)】|阪 清和 (Kiyokazu Saka)
1960年代から1970年代とはどういう時代か。誰でも自分が青春時代を過ごした時代のことを最もよく覚えているものだが、この1960年代あるいはその周辺に青春を過ごした人にとっては他の時代よりもより強く記憶の中に刻まれている時代なのだ。時代の変革を求めた大学生ら若者たちが世界中で決起。日本では日米安保条約とその改定をめぐって学生運動が勃興した時代だ。若者たちは青春の血潮を燃やし、対米追従、富裕層優遇を強めていた岸首相に対する反発を強めていた時期だった。1970年代以降は徐々に縁遠くなるデモやストも国民にとっては身近で、若者が政治にモノ申すことは普通の時代だった。認知症の症状が出た桜庭香
note.com