多層的な意味合いの光を乱反射のように拡散させながら、らせんのように観客の心に深く刻み込まれていく問題作…★劇評★【舞台=球体の球体 Sphere of Sphere(2024)】|阪 清和 (Kiyokazu Saka)
子どものころから、中に何が入っているのか分からない福袋が嫌いだった。いまは中身が予告されている福袋もあるので、そういう嫌われ方をされることはあまりないのかもしれない。同じように、ガチャ(カプセルトイ)にもあまり触手が伸びなかった。ハンドルを回して落ちてきたカプセルを開けてみるまでは中身の商品が分からないシステムが子ども心にも納得がいかなかったからだ。ガチャはやがて巨大なブームとなり、転じて「自分では選べない」ことの象徴として、親ガチャ、配属ガチャ、顔ガチャなどの転用系の派生語を生むに至って、新聞記者・批評家という言葉をつかさどる職業を歩いてきた私にとっては無視できない言葉となっていっ
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