重圧感と痛快感がないまぜで極上のエンタメ性獲得、映画『スパイの妻』
夫婦の愛情とは何か。幸福な生活においてそれは安定しているが、ひとたびどちらかに不信が生まれたら、たちまちバランスを崩す脆いものでもある。このミステリアスな関係が昭和初期の戦争直前という不安定な時代の中で試され続けるサスペンスフルな映画『スパイの妻』が公開中だ。国家機密と正義の間で揺れる妻を蒼井優が迫真の演技で、そして信念で突き進む夫を高橋一生が壮絶な表現力で描き出すこの作品は歴史の闇の重圧感とそれを突破しようとするブレイクスルーの痛快感がないまぜになって得も言えぬ極上のエンターテインメント性を獲得しており、黒沢清監督の新たな地平を切り拓いた作品と言えるだろう。 映画『スパイの妻』の一場面。蒼...
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