【掌編小説】不真面目な書道教室|元宝 (一分間で学ぶ 成功者の教え)
仕事が煮詰まると、私は決まって裏通りの住宅街をあてもなく歩くことにしている。ディスプレイの青白い光に焼かれた目を癒やすには、誰が植えたかもわからない植木鉢の緑や、古びたトタン屋根の錆色がちょうどいい。 その日、路地の曲がり角で足が止まった。 そこには、私が子供の頃に通っていたのと同じような、平屋の書道教室があった。「○○書道塾」という看板こそ出ていないが、軒先には何枚もの半紙が洗濯物のように誇らしげに掲げられている。 だが、そこに躍る「お題目」がどうにもおかしい。 一番端の、力強い楷書で書かれた文字は「三食昼寝付き」。 その隣、流れるような行書で優雅に綴られているのは「退屈し
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