【連載小説】きみの星には嘘がない 第4話 蟹座の殻を脱ぐ|元宝 (一分間で学ぶ 成功者の教え)
窓の外は、しとしとと止まない雨に包まれていた。 湿り気を帯びた空気が、都会のコンクリートを深い灰色に染めている。 「天文対話室・エフェメリス」の入り口に、一人の女性が立っていた。彼女は大きなレインコートのフードを深く被り、まるで外敵から身を守る鎧を纏っているかのようだった。 「お入りなさい。湿気は、感情を溜め込みやすくしますからね」 奥から聞こえてきた朔太郎の声に、女性—九条りさ(くじょう りさ)は肩を震わせた。彼女は画家として活動しているが、ここ数ヶ月、真っ白なキャンバスを前に一筆も動かせない日々が続いていた。 店内に入ると、温かいミルクとシナモンの香りが彼女を包んだ。朔太郎
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