作品をさらに掘り下げ、「名作」としての価値だけでなく時代に左右されず永遠に続いていく作品として飛翔させるための挑戦の始まりであることを強く印象付ける仕上がり…★劇評★【ミュージカル=ホーム(2024)】|阪 清和 (Kiyokazu Saka)
 時代の流れは大河のようだと表現されることが多い。それに手際よく乗ろうとする人もいるし、流れにただ身を任せている人も、流れに抗って棹差す人もいる。それでも河はすべてを呑み込んでひとつの大きな流れをつくって流れていくのだ、という理屈だ。その流れこそが時代であり、世の中なのだと。一応理屈は通っている。しかしそうしてひとつになった流れの中にある一つ一つの動きもまた時代なのだと私は思っている。大学のゼミ以来、大衆文化や社会心理の流れを丹念に追ってきて、そこにひとつの傾向を見つけることはできるが、ひとりひとりの人生での体験こそが大切なのだと、叩き込まれてきたせいかもしれない。高度成長時代という時
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