「探す・調べる・捨てる」をやめたら、ミシンがもっと身近になった|三條 凛花
夕方だけど、春になり、まだ日が沈む気配がなかった。 南向きの明るいランドリールームに、ミシンの音が響く。最後の記憶は、薄いグレーと赤の布を見比べていたところ。 姉のお下がりばかりだった下の子のために、新しい巾着袋を縫っていた。すると姉のほうが「ずるい」と言い出したので彼女のためのものも作り出して……。 とっぷりと日が暮れるまでミシンに没頭してしまった。 ここ数年、「ていねいな暮らしをしている」と言われることが増えたけれど、ぜんぜんそんなことはない。これを書いている今も、たった半日でゴミ屋敷にされてしまったリビングを、半泣きで片づけてきたところだ。 キリのいいところまではや
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