【掌編小説】踊り場の哲学者|元宝 (一分間で学ぶ 成功者の教え)
仕事机に張り付いて三時間が経過した頃、脳内の酸素が薄くなるのを感じて、私は逃げるように部屋を飛び出した。行き先のない散歩。それが、思考の結び目を解く唯一の療法であることを私は知っている。 三階の自室からコンクリートの階段を一段ずつ下りていく。乾燥した冬の空気が、サンダルの隙間から入り込んで足首を冷やした。二階と一階のちょうど中間、踊り場のあたりまで差し掛かったとき、視界の端に「黒い塊」が飛び込んできた。 カラスだった。 それはマンションの手すりに、まるで最初から備え付けられていたオブジェのように鎮座していた。カラスは最初、私に背を向け、手すりの向こう側に広がる街の景色を眺めていた
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