ないがしろにされる感性や文化、庶民がユーモアや希望を忘れずに戦争という時代に立ち向かった軌跡鮮やかに…★劇評★【舞台/音楽劇=きらめく星座(2023)】|阪 清和 (Kiyokazu Saka)
太平洋戦争のころの日本の庶民の暮らしがどれほど悲惨で大変だったか、焼夷弾がどれほど恐ろしいものだったかについては親や、親戚、近所の大人から嫌というほど聞かされたが、祖父母からは、「楽しいこともあったんやで」と思わずクスっとしてしまうようなエピソードもたくさん聞かせてもらった。それは何も大人同士で子どもに対する戦争教育の役割分担をしていたからではなくて、本当に、そして現実に、楽しいことと悲しいことがあざなえる縄のように玉石混交していたに違いない。統制経済下の暮らしをたくましく生き抜き、笑い飛ばすのも庶民の力強い生きざまだ。時にはユーモアも必要だっただろう。井上ひさしは時に厳しい刃を観客
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