【掌編小説】初恋の日|元宝 (一分間で学ぶ 成功者の教え)
 初恋の日、なんて言われると少し困ってしまう。誰かを初めて好きになった日を指すのだろうけれど振り返ってみると、その「初めて」は何度もあった気がするからだ。  隣の席になった女の子が、消しゴムを半分に割って「使う?」と笑った日。  帰り道、夕焼けの土手で並んで歩いた先輩の横顔に、胸が妙に苦しくなった日。  優しい顔で缶コーヒーを渡してくれた同僚の女性に心が温かくなった夜。  どれも長く続いた恋ではない。  名前も、声も、今では少し曖昧になっている。それでもその瞬間だけは確かに世界が輝いて見えた。  恋というのは不思議だ。  未来を約束してくれるわけでもないのに、人を少しだけ優しくす
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