チェーホフの世界観の中で普遍的な家族の物語と現代的な問題意識が100年の時を隔てて共鳴する圧巻の物語…★劇評★【舞台=ワーニャ、ソーニャ、マーシャ、と、スパイク(2020)】|阪 清和 (Kiyokazu Saka)
 チェーホフが活躍したのは1900年前後。19世紀末から20世紀の初頭にかけてだ。そんな劇作家の作品が21世紀前半のいま、世界中で頻繁に上演されている。それはチェーホフの時代がまさしく「現代の始まり」と言っていい時代であり、人々が抱える悩みが根源的なところでつながっているからだ。そんなチェーホフの「かもめ」「三人姉妹」「桜の園」「ワーニャ伯父さん」などの戯曲から設定やテーマ、イメージを少しずつ借り、現代的な問題を抱えた現代の物語の中に散りばめた傑作戯曲「ワーニャ、ソーニャ、マーシャ、と、スパイク」が今、劇団民藝によって上演されている。普遍的な家族の物語の中に、現代的な問題意識を取り込み
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