猥雑なカオスとそれが生み出す黒くたぎった生命感が生と死のぎりぎりの境目の中で熱く光る尋常ならざる作品…★劇評★【舞台=罪と罰(2019)】|阪 清和 (Kiyokazu Saka)
 「自分のような特別な人間(選ばれた非凡人)には、その行為によって人類が救われその行為が必要ならば、(新たな世の中の成長のために)社会道徳を踏み外し法を侵してもいい権利を持っている」。これは昨今、日本や海外で頻発する無差別大量殺傷や無軌道な通り魔的凶行を犯した犯人たちがうそぶいた言葉ではない。今から150年以上も前にロシアの文豪ドストエフスキーが自身の小説「罪と罰」の主人公に抱かせた言葉(一部分かりやすいように追加・改変しています)だ。歴史的には、マッドサイエンティストや一部の政治家にこうした考え方をする人たちがいたが、一般の人たちの中にこうした考え方が普通に広がっていくことをドストエ
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