描き出される感情はすべてが生々しく新鮮…★劇評★【ミュージカル=スリル・ミー  松下洸平・柿澤勇人ペアバージョン(2018)】|阪 清和 (Kiyokazu Saka)
 人は誰でも心の中に闇を持っているものだ。それは普段は見えないように隠されていても、若気の至りのような簡単な刺激で飛び出してしまうこともあるし、ましてや共依存のような関係の相手がいた場合、互いの闇が共鳴し合い、スパークしてしまえば、世の中を震撼させる社会の闇ともなり得る。米国で100年近く前に実際に起きた凄惨な事件で逮捕された2人の若者の関係性に絞って演劇というかたちで提示することで、裁判でもあぶりだせなかった事件の全貌と彼らを狂気に至らしめたものの正体を暴き出すミュージカル「スリル・ミー」が約4年ぶりに上演されている。有望な若手を次々と輩出し、育ててきた栗山民也演出の戦慄のミュージカ
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