「生きねば」、そして「いつか心の底から笑わねば」と思わせてくれる仕上がり。コロナ禍の観客の心に染みる…★劇評★【ミュージカル=屋根の上のヴァイオリン弾き(2021)】|阪 清和 (Kiyokazu Saka)
 かつて行く先々で迫害され、流浪の旅を続けてきたユダヤ民族の姿を通して人類の負の側面を描くとともに、その何倍もの輝きを持って、「どんなに辛いことがあっても生き抜いていく」ことの大切さを伝えてきた不朽の名作ミュージカル「屋根の上のヴァイオリン弾き」。森繁久彌、上條恒彦、西田敏行と引き継がれてきた主人公のテヴィエは現在は21世紀版の中心となる市村正親が盤石の扇の要を務めている。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)で不自由な生活や観劇を強いられている観客には、テヴィエ一家、そしてユダヤの民が暮らすロシア帝政化にあったウクライナの寒村アナテフカの人々の心細く不安な気持ちの中での毎日に
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