【連載小説】きみの星には嘘がない 第1話 牡羊座の再出発|元宝 (一分間で学ぶ 成功者の教え)
雑居ビルの三階、錆びついた手すりを伝って階段を上がると、その場所はあった。 看板には「天文対話室・エフェメリス」とだけ書かれている。重厚な木製のドアを開けると、スパイスを効かせたチャイのような香りが鼻をくすぐった。店内は、占い館によくある紫色のカーテンや水晶玉といったおどろおどろしい装飾は一切なく、むしろ格式の高い古本屋か、あるいは静かな研究室のような趣だった。 「予約した、加藤遥(かとう はるか)です……」 恐る恐る声をかけると、奥のデスクから一人の男が顔を上げた。 ボサボサの黒髪に、どこか眠たげな瞳。ゆったりとしたネイビーのカーディガンを羽織ったその男が、このサロンの主、星
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