舞台上に再現していく人生絵巻は上質なえぐみに満ち満ちて…★劇評★【舞台=ツダマンの世界(2022)】|阪 清和 (Kiyokazu Saka)
作家とは頭の中で人の人生を創り出し、それを展開させていくわけだから、神のような存在だ。しかし神のような存在になった者たちが宿命のようにその代償として浴びることになるのは、自らの人生にも物語を生み出し、主人公が逃れられない波乱の人生にのみ込まれてしまうことだ。激動必至の物語が、戦争というさらなる異常事態の要素にもあおられ、ゆがんだ高揚感の中で物語は激烈な回転を始める。作家へのうらみか思い出か、人によってその後味は違うものの、立場の違う者たちが舞台上に再現していく人生絵巻は上質なえぐみに満ち満ちていた。(写真は舞台「ツダマンの世界」とは関係ありません。単なるイメージです)
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