君が旅立つ日のために綴る”おいしいノート”|三條 凛花
わが家には”100年もの”のレシピがある。 「味噌はさみ焼き」と呼ばれている。 縦半分にした茄子に切り込みを入れて、甘辛い味噌だれを挟んで蒸し焼きにしたもの──。 100年レシピ 「少なくとも、ひいばあちゃんのときにはあったみたい」 味噌が焦げる香ばしいにおいが漂うキッチンで、母は歌うように言った。今から10年前のことだ。 その後も同じ話を聞くことになるが、何度聞いてもお気に入りである。 わたしが母になる前の、最後の夏だった。 ひどいつわりで入院していたわたしのために、母が新幹線に乗って上京してくれた。狭い13.5畳のワンルームに泊まり込み、1週間ほど料
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