素粒子を紐解き、宇宙を知る
日本人として初めてノーベル賞に輝いた湯川秀樹博士は大阪帝国大学理学部講師だった1934年、「中間子」の存在を予想し、「素粒子の相互作用について」とする論文を発表した。原子や、それより小さい素粒子は「量子」と呼ばれ、粒子のようにも、波のようにも振る舞う不思議な性質を持っている。そうした極微の世界を扱う「量子力学」は当時、誕生したばかりで、世界中の学者が研究にしのぎを削っていた。湯川博士は、既に存在が知られていた電子や陽子、中性子といった原子核の構成要素に加え、中間子という存在を仮定することで、原子核がバラバラにならないように結び付ける力の正体を説明したのだ。画期的なアイデアで、1949年のノーベ...
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