インテリジェンス・ケア(前)|焼きさかな
「海って、一体青いのか赤いのかどっちなんですか」 尾びれを止めて立ち止まり、眼前に広がる景色を見て亜遊(あゆ)は大佐賀(おおさが)に訊いた。 「なんだい、新入り。あんたそんなことも知らないのかね」 大佐賀は大きな目を丸くした。亜遊のきょとんと首を傾げる姿を見て、「大変だねえ、記憶がないってのも」と肩を落とすと、一呼吸置いてから、 「海は青い」 と青色の海の中から、眼前に徐々に広がっていく真っ赤な海を眺めて言った。 「本来は、青かったんだよ。ただ、我々のせいで赤くなってきてしまったのさ…新入りは赤い海は怖いかい?」 亜遊は小さく首を縦に振った。 「あんたの気持ちも
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