井上芳雄が注ぎ続ける愛情と上白石萌音の繊細な美しさ。心の中に忘れがたい旋律を持った記憶が永遠に響き続ける作品になった…★劇評★【ミュージカル=ダディ・ロング・レッグズ 足ながおじさんより(2022)】|阪 清和 (Kiyokazu Saka)
昔からよく知っている物語なのに、ジョン・ケアード演出のミュージカル「ダディ・ロング・レッグズ 足ながおじさんより」を2012年の日本初演で初めて観て、ジーン・ウェブスターの「あしながおじさん」がこんなに豊かな感情にあふれ、こんなに大人びた知性のぶつかり合いを内包した小説であったのかと衝撃を受けたことをよく覚えている。子ども向けに書き直されたお話が記憶の中に残り過ぎていたのかもしれないが、篤志家・慈善家である謎の人物と、孤児院出身でビビッドな感性と文才をその人物に見込まれた少女との間で少女からの発信に限定された一方的に交わされる手紙で構成された物語は、一見、ハートウォーミングな物語と見
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