チェーホフ劇のような人生の情感と悲哀漂う空間の中に上質な時間が流れる稀有な一作に…★劇評★【舞台=骨と軽蔑(2024)】|阪 清和 (Kiyokazu Saka)
 さらさらと毎日が流れていくようなさりげなさの中で個々の登場人物が抱えているものがそれなりに深刻で、逆に彼らがそれにこだわればこだわるほど滑稽に見えてくる。やがて最初はあまり気にしていなかった物語の外枠がぎりぎりと彼らと、そして私たちを締め上げてくる。なのに、登場人物たちはたくましく、しかしどこかしなやかに生きている…。劇作家、演出家のケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)の名作戯曲を気鋭の演出家が演出してきた「KERA CROSS」シリーズのラスト公演はなんとKERA自身が描き下ろし、自ら演出するという特別なプレゼントのような公演になった。舞台「骨と軽蔑」は宮沢りえ、鈴木杏、犬山イ
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