劇団四季のクリエイティビティ―あふれる挑戦。壮大なメッセージ性と究極のエンターテインメント性を獲得した仕上がり…★劇評★【ミュージカル=バケモノの子(2022)】|阪 清和 (Kiyokazu Saka)
 「クールジャパン」が本当に世界で受けているのかは近年かなりあやしくなってきたが、世界で最も成熟したアニメーション市場を持つのが日本であることは、漫画やアニメ、エンターテインメントの世界を長らく取材して来た私には確信がある。いちいち例は挙げないが、多くの作品には哲学的なテーマ性と深遠な奥行きがあり、単なる子どもだましや、見ていて楽しいだけの作品は少数派に追いやられている。もっと言えば、消費行動が成熟している以上に、創り手と受け取り手の関係性が成熟の度合いを強めているのだ。作者の放つものを受け取り手がきちんと受け取り、そのテーマをさらに掘り下げていく。どこまでも続く旅に共に出てくれるそん
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