軍人と漁師たちの溶け合うことのない戦争への思いと、それでもなお生きようという彼らの人間としての生への狂おしい叫びが大きなきずなの力となっていく…★劇評★【舞台=最貧前線(2019)】|阪 清和 (Kiyokazu Saka)
 わずかな機銃(機関銃)など最低限の武装で遠く太平洋に派遣され、米軍の動きを偵察する重大な任務を負った徴用漁船が存在した-。にわかには信じがたいそんな船を舞台に、戦争の狂気の中でも育まれた男たちのきずなの物語と、平和へのたぎるような祈りを込めた舞台「最貧前線」が上演されている。もともとはアニメーション映画監督、宮崎駿がかつて雑誌に連載していた連作絵物語・漫画「宮崎駿の雑想ノート」の中のひとつの物語。今回の舞台をプロデュースした水戸芸術館ACM劇場の芸術監督、井上桂らの尽力によって、宮崎駿のオリジナル作品としては国内初の舞台化が実現したものだ。敗色が濃くなってきた太平洋戦争末期に、迫る米
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