道場法師
日本霊異記 道場法師の鬼退治 昔、欽明天皇の第二皇子で父に継いで第三十代の天皇(すめらみこと)となった、かの女帝推古天皇の異母兄にしてその夫たる敏達天皇、磐余(いわれ)の訳語田(をさだ)の宮から国を治められた渟名倉太玉敷(ぬなくらふとたましき)の命の御世のことであった。  尾張国阿育知郡片把(おわりのくにあゆちのこおりかたわ)の里に一人の農夫(たつくるをのこ)がいた。農夫が作り上げた田に水を引こうとしていた時、小雨が降ってきた。農夫は仕方なさそうに天を見上げると、雲は厚いが流れは速かった。そこでひとまず木陰で休むことにした。鉄製の杖をついて田の外れの木の下へ入ると、まるでそれを待っていたかのよ...
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