幻影の構成 - 書物の帝国 Annex
眉村卓『幻影の構成』(ハルキ文庫) 『幻影の構成』にはハヤカワ文庫JA版、角川文庫版などいくつかのバージョンがあるが、最後に出たハルキ文庫版を読む。発表された当初の時代背景や問題認識とは異なり、現代のコンテクストで読み直せるSFである。本小説はイミジェックスというシステムによってコントロールされている世界の中で、制度(システム)と個、個と管理体制の在り方についての物語として読むことができる。過去眉村作品をいくつか読んできたが、本書はイミジェックスによる広告やシグナルによって偏向させられた消費者たちが、欲望の赴くままに自分の予算制約を考えないまま(借金をして)過剰な消費活動を行っている。つまり独...
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