丁々発止の会話劇が一級品の頭脳ゲームへと展開していく面白さ。三谷幸喜のこだわりぶりが炸裂する…★劇評★【舞台=愛と哀しみのシャーロック・ホームズ(2019)】|阪 清和 (Kiyokazu Saka)
 フランケンシュタイン博士しかり、インディ・ジョーンズしかり、例えそれが物語の中で創り出された架空の人物であっても、後に世間を驚かせる人物は、クリエイターたちに「その若き日はいかなる人物だったのだろう」という興味を抱かせるものだ。シャーロック・ホームズもまたそんな一人で、これまでも映画などで若き日のシャーロックは描かれてきたが、三谷幸喜が挑んだ舞台「愛と哀しみのシャーロック・ホームズ」ほど、その若き日の実像(架空の人物なので実像というのも少しおかしさを感じるが、そのおかしさもまた味わいになっている)を的確に描き出している作品もないだろう。しかもその存在は明記されているもののあまり詳細な
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