魔術性が劇場の中でとぐろを巻くような迫力ある作品に昇華
この作品は劇場空間すべてを取り込む魔術的な力を持つ。長塚圭史演出の神奈川芸術劇場プロデュース「常陸坊海尊」。秋元松代の名作戯曲を長塚は、魔術性が劇場の中でとぐろを巻くような、さらに迫力のある作品に昇華させる離れ業を披露した。(舞台写真撮影:岡千里) 常陸坊海尊とは、弁慶らと義経の奥州逃避行に同行するが、衣川での最後の戦いの直前に姿を消した「裏切り者」。各地を放浪。400年後に現れ、義経や源平合戦のことを「見て来たように」聞かせた人物だ。このころの海尊は悔いる老人というより、不老不死を手に入れ「困った時に名前を呼んで助けてもらう」仙人のような存在。この舞台は伝記ではなく太平洋戦争末期から戦後...
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