川野惠子『身体の言語——十八世紀フランスのバレエ・ダクシオン』(水声社、2024年)/ 寺尾佳子
画面上の情報を目で追うことが日常化したいま、美しい装丁の本を手に取る喜びはたまらないものがある。本書もそう感じさせてくれる一冊である。軽やかに舞うダンサーが印象的なローマの壁画風の表紙は、あとがきによると、著者である川野惠子氏が長年のご友人にリクエストして誕生したらしい。本書のキーワードである「身体」、「言語」、「美学」はともすると難解な印象を与えるが、このような心温まるエピソードから垣間見える、川野氏の研究への特別な思い入れが、本書の随所に感じられた。 以下、評者の関心に沿って本書を紹介できればと思う。なお、評者はディドロとも関わりのある18世紀フランスのイエズス会神父を研究対象としており...
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