ニール・サイモン初挑戦の劇団民藝が洗練された演技であちこちに仕掛けられた人生の機微を花開かせることに成功…★劇評★【舞台=ローズのジレンマ(2023)】|阪 清和 (Kiyokazu Saka)
 スランプと浪費でピンチに陥っている作家ローズに訪れた奇跡のような出来事。幽霊まで登場させる禁じ手の変化球のように見せて、その実、クリエイティブの神髄と家族や人間関係の再生を描き出すしみじみとした深みのある人生観がにじんだ舞台「ローズのジレンマ」という物語は、ウィットやユーモアにあふれた全盛期の作品とは趣きを異にした酸いも甘いも経験しつくした時期のニール・サイモン戯曲の到達点とも言える作品。意外にも初めてサイモン作品に挑戦した劇団民藝は洗練された演技でサイモンが戯曲のあちこちに仕掛けた人生の機微を花開かせることに成功し、この戯曲にさらなる魅力を付け加えていた。(写真は舞台「ローズのジレ
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