【掌編小説】里芋の煮っ転がし|元宝 (一分間で学ぶ 成功者の教え)
夜の台所に、醤油とみりんの甘い匂いが満ちている。 小さな雪平鍋の中で、里芋が静かに転がっている。火を弱めるたびに、ことこと、と柔らかな音が鳴った。 僕は最近、里芋の煮っ転がしばかり作っている。 スーパーで泥つきの里芋を見ると、つい買ってしまうのだ。皮をむく手間も、ぬめりで滑る感触も嫌いではない。むしろ、その面倒くささが、どこか心を落ち着かせる。 けれど、何度作っても「これだ」という味にならない。 少し甘すぎたり、醤油が立ちすぎたり。柔らかさもちょうどいい瞬間を逃してしまう。今日の鍋も悪くはない。でも、どこか違う。 箸で一つつまみ、ふうふうと息を吹きかけて口に入れる。 その
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