日本の選択をめぐる魂を削るような日々、重厚な会話劇に生き生きとしたリズム…★劇評★【舞台=オットーと呼ばれる日本人(2024)】|阪 清和 (Kiyokazu Saka)
私たちは現在の時点から歴史を見ているから、何でも好きなことを言えるが、その歴史の時々に生きていた人たちは、必死だったのだ。自分が国籍を有している国がどうなるのか、所属している組織はどうなるのか。特に戦争のさなかにいる、あるいは戦争への突入が不可避になっているタイミングでは、だれもがそのことを探り合っていたはずだ。特にあの時代、日本自身がどういう選択をするのかは世界中が注視していた。1930年代から1940年代にかけての上海と日本を舞台にこの選択をめぐる諜報活動にあたっていた者たちの魂を削るような日々を描いた木下順二の問題作「オットーと呼ばれる日本人」が劇団民藝の丹野郁弓による新演出で
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