宮沢賢治 ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記
ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記 宮沢賢治    一、ペンネンネンネンネン・ネネムの独立  〔冒頭原稿数枚焼失〕のでした。実際、東のそらは、お「キレ」さまの出る前に、琥珀(こはく)色のビールで一杯(いっぱい)になるのでした。ところが、そのまま夏になりましたが、ばけものたちはみんな騒(さわ)ぎはじめました。  そのわけ〔十七字不明〕ばけもの麦も一向みのらず、大〔六字不明〕が咲いただけで一つぶも実になりませんでした。秋になっても全くその通〔七字不明〕栗(くり)の木さえ、ただ青いいがばかり、〔八字不明〕飢饉(ききん)になってしまいました。  その年は暮れましたが、次の春になりますと飢饉はもうとても...
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