全編に漂う愛の飢餓感と生と死が乱反射する物語の構造を早い段階でよく理解しているフレッシュコンビ…★劇評★【ミュージカル=エリザベート(愛希れいか・古川雄大・田代万里生・京本大我・香寿たつき・山崎育三郎出|阪 清和 (Kiyokazu Saka)
ミュージカル「エリザベート」がこれほど愛されているのは、ただ単にファンがキュンとする勘所をきちんと抑えているからではない。「生」を「死」の側から見るという逆説的な視点がまずもっとも基本にあり、さらには死を司る黄泉の国の帝王トートと皇后エリザベート、そしてエリザベートと皇帝フランツという2つの愛を絡め合わせて描いていること、そして何よりもここでは愛はエリザベートにとってもフランツにとっても息子のルドルフ皇太子にとっても、トートにとっても、手に入れることの極めて難しい悲しみに満ちた存在として描かれていることで、逆にすべての登場人物たちの純粋な愛のかたちが浮かび上がってくるという唯一無二の
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