失われてゆく、その痛みを書く――村上春樹(1984)『蛍・納屋を焼く・その他の短編』新潮社
前々から春樹は長い長編よりも短い長編の方が良いと思っているが、短編もいいものはそれなりによい。『中国行きのスロウボート』の表題作や「トニー滝谷」や、例を挙げればいくつもある。それでも春樹が評価されるのは最低でも二冊以上は費やされる長い長編をコンスタントに発表してきたからだろう。デ…
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