法律との向き合い方を強烈に描いたこの作品は、あらためて描かれた時代も書かれた時代も超越した戯曲なのであるということを鮮明に示した…★劇評★【舞台=夢の泪(2024)】|阪 清和 (Kiyokazu Saka)
 井上ひさしがそれ以前から強烈な関心をもっていたに違いない東京裁判。ミレニアムの2000年に当時新国立劇場の演劇部門芸術監督だった演出家、栗山民也からの「20世紀に日本が得たもの失ったもの」をテーマにしたオファーに井上が構想を打ち出した「東京裁判三部作」の第1弾「夢の裂け目」(2001年初演)に続いて第2弾として2003年に発表したのが舞台「夢の泪」だ。その後発表された第3弾の「夢の疵」と合わせ三部作一挙上演として新国立劇場の制作で2010年に上演されているが、井上の作品を生前から上演し続けているこまつ座の制作で初めて上演された。軍部や国家だけでなく、国民一人一人の戦争責任とその意味を
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