北村想の哲学的な世界観が草彅剛の包容力のある役者としての魅力とも相まっていっそう深みのある物語空間を創り出している…★劇評★【舞台=シラの恋文(2024)】|阪 清和 (Kiyokazu Saka)
北村想の書く戯曲は宇宙だ。さまざまな理(ことわり)で精緻に組み合わされた世界のようでいて、そこにうごめく人々は自由という衣をまとって、ひょうひょうと、しかし確かに生を生きている。どんなにシュールな風景の中でもそれは一つの力となり、ペーソスや郷愁を漂わせて、私たちを少し先の世界へといざなう。そんな北村が輪廻転生の暗喩も忍ばせながら人生の広大な意味合いを解き明かしていく新作舞台のシス・カンパニー公演「シラの恋文」が上演されている。その哲学的な世界観は、主演を張る草彅剛の包容力のある役者としての魅力とも相まっていっそう深みのある物語空間を創り出している。演出は寺十吾(じつなし・さとる)。(
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