心の中で展開する物語をダイナミックな舞台表現に拡張させてミュージカルの新しい扉を開けたような魅力的な作品に仕上がっている…★劇評★【ミュージカル=SUNDAY(サンデイ)(2020)】|阪 清和 (Kiyokazu Saka)
人は一面に同じ色や同質のものが広がる場所に立つと、心の裏地や本音、気付いていないふりをしていた真実などがあぶりだされると言われている。例えば、雪原や海、ラベンダー畑、あるいは砂漠などだ。推理小説の女王、アガサ・クリスティがメアリ・ウェストマコットという別名義のペンネームを使ってまで出版した小説「春にして君を離れ」の主人公は、ひょんなことからしばらく足止めを食ってしまった中東の砂漠の中で、この決して知りたくない真実に気付いてしまうのだ。旅先での心細さや暑さから来る疲労に加えて、目印になるものがない「壁のない迷路」のような砂漠こそがまさにそうしたリアルな幻想を生むのだが、その真実はだれか
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