演出の上村聡史が生き物のように構築する舞台の上で展開する家族の慟哭。眞島秀和や倉科カナら出演者全員の鬼気迫る演技が際立つ仕上がりに…★劇評★【舞台=My Boy Jack(2023)】|阪 清和 (Kiyokazu Saka)
 国と国との戦いである戦争がなぜ広範な人々に残酷な記憶を残してしまうのか。それはそれぞれの家族の中に大きな傷跡を残してしまうからである。出征する者、送り出す者、傷つく者、受け止めきれない者…、さまざまな立場で戦争がもたらす家族への影響と立ち向かいながら、それぞれの家族の中に刻み込まれていく記憶を、「ジャングル・ブック」などの作品で知られる英国の小説家・詩人、ラドヤード・キプリング一家と息子ジョン(愛称ジャック)の出征譚に絡めて構築した舞台「My Boy Jack」が上演されている。どの家族にも起こりうる普遍性のある悲劇であり、一方でラドヤード家や時代の特殊性をまとった悲劇のようでもある
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