草彅剛の魅惑的なパフォーマンスとファンクの生演奏が貫く切迫した危機感はブレヒトの警句を現代に降臨させる力に満ち満ちている…★劇評★【音楽劇=アルトゥロ・ウイの興隆(2020)】|阪 清和 (Kiyokazu Saka)
歴史には時折、悪魔のような人間が現れる。中には生まれついての邪悪な魂を持った人間もいるだろうが、たいていは、そうした悪魔は人間が、そして社会が生み出す-。そのことをとびきりごきげんなファンクミュージックに踊らされながらしみじみと感じさせられた。その快楽的な愉悦は悪魔的な恍惚にも重なり合い、観客をあおり、沸騰させる。ヒトラーが独裁者になる過程をシカゴのギャングの勢力拡大と重ね合わせたブレヒトの戯曲「アルトゥロ・ウイの興隆」はそんな演劇的な企みに満ちた油断ならない音楽劇。エンターテインメントを知り尽くした草彅剛の魅惑的なパフォーマンスとファンクバンド「オーサカ=モノレール」の生演奏が貫く
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