時代が変わっていく地響きのような音にあおられながら、悲哀に満ちた人間関係が描かれる…★劇評★【舞台=リチャード二世(2020)】|阪 清和 (Kiyokazu Saka)
たとえシェイクスピアでも「史劇」は面白くないと思っていた。政権を倒す話はわくわくするが、王様には絶対服従の時代。人生も家柄の上下や貧富の度合いによってほとんど決定してしまう時代の人間関係や権力争いには面白みがないのではないか、と思っていたからだ。しかしそんな愚かな考えは、2009年から今年まで数年おきに断続的に上演された新国立劇場の「シェイクスピアの歴史劇シリーズ」で根底から覆った。9時間にもわたる「ヘンリー六世 三部作」が2009年作品対象の賞を総なめにしたことで、2012年の「リチャード三世」、2016年の「ヘンリー四世 二部作」、2018年の「ヘンリー五世」と続いたこのシリーズ
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