【掌編小説】一年前|元宝
一年前の自分を思い返すと、まるで長いトンネルの途中を歩いていたように感じる。これまで当たり前にできていたことが、急にうまくいかなくなった。人との距離感も、仕事の進め方も、何かが少しずつ噛み合わない。昔のやり方に戻ろうとすればするほど、余計に苦しくなっていた。 だから私は半ば諦めるように新しい方法を試し始めた。 急ぐことをやめ、流れに逆らわず、人の声よりも自分の感覚を大切にするようにした。すると不思議なことに、これまで閉ざされていた扉が少しずつ開いていった。 一年前は不安だった。自分が壊れていくのではないかとさえ思った。しかし、今振り返ればそれは壊れていたのではなく、古い殻が
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