2つの物語は観客の心の中の一番深いところにまで届く奥行きを獲得している…★劇評★【舞台=家族のはなし PART 1(2019)】|阪 清和 (Kiyokazu Saka)
家族というのはなんとも不思議なものである。思い出の大半を共有しているのに、果てしなく遠く感じることがあったり、もう何カ月も顔を見ていないなと思っていると、だれよりもそばに寄り添ってくれていたり…。だからきっとたまらなく愛おしいのだと思う。そんな家族の話を真っ正面から描いてもそれはそれで物語は成立するだろう。古今東西、家族をテーマにした物語が多いのはそのためだ。しかしながら、今、京都を中心とした観客の心の中に大きな感動を呼び起こしている舞台「家族のはなし PART 1」で描かれるのは、そこから少し視点をずらしたり、コミュニケーションや記憶というものを絶対的な交信手段から取り除いてみたり
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